その姿は、間違いなくシルナだった。
俺は呆然として、その場に立ち尽くした。
俺や同僚の青年が着ているものより、ずっと高級そうな衣装に見を包んで。
そこに立っているのは、間違いなくシルナだった。
何でシルナがここに。
俺達は、別々の異次元世界に飛ばされたはずじゃ、と。
思った瞬間、
「…奴隷は?連れてきた?」
こちらを振り向いたシルナの、その目。その声。
氷のように冷たい目と声。
それは、俺の知るシルナのものではなかった。
「えぇ。きっちり六人」
「遅かったね」
「済みません。今日は、彼がどうもぼんやりしているようで」
呆然として立ち尽くしている俺の代わりに、同僚が返事をしていた。
何せ俺の頭は、目の前の現実を受け入れるのに必死だった。
返事をするどころじゃなかった。
…シルナじゃない。
見た目は完全にシルナなのに、その中身は全くの別物だ。
シルナは俺を前にして、こんな風に冷たい目をすることはない。冷たい声をかけることはない。
奴隷なんて言葉を…平気で使えるような人間じゃない。
これは、全くの別人なんだ。
そう納得したとき、同僚がシルナもどきに聞いた。
「会長。『引き抜き』はどうします?」
会長?
このシルナもどきが、さっき言ってた会長なのか?
つまり…俺や、この同僚が所属する、奴隷商会の会長だって言うのか。
このシルナもどきが?
それに、「引き抜き」っていうのは何だ…。
「そうだね…」
会長と呼ばれたシルナもどきは、俺が連れてきた六人の子供達を、品定めするかのような目で見た。
この場合、商品を眺めているのだから、正しく品定めだ。
一人ずつ、商品の品質をチェックするように、奴隷の首輪を掴んでじろじろと見つめる。
子供達の大半は、恐怖に引き攣った顔で、されるがままになっていた。
しかし。
度胸のある…と言うか。
憎しみのあまり、やけっぱちになったのだろう。
「…ぺっ!」
男の子が一人、シルナもどきに向かって、思いっきり唾を吐いた。
あ、ヤバい、と思う暇もなかった。
シルナもどきは、無言で懐から拳銃を取り出し。
拳銃の銃床で、男の子の顔面を思いっきり殴りつけた。
全く情け容赦のない一撃だった。
「ぎゃっ!!」
男の子は、数メートルも吹き飛ばされ、床に倒れて痛みに呻いていた。
口から何本もの歯が零れ落ちて、血を吐いていた。
なんて…酷いことを。
思わずシルナに食って掛かりそうになったのを、必死に自制した。
この男は、俺が知っているシルナ・エインリーではない。
しかもこの世界では、このシルナもどきは上司なのだ。
奴隷商会の会長なのだ。
逆らって良い相手ではない。
俺は、ぐっと拳を握り締めて耐えた。
「『それ』は不要品だ。主人に逆らう奴隷は要らない。処分して」
シルナもどきは、冷徹な声で言った。
俺は呆然として、その場に立ち尽くした。
俺や同僚の青年が着ているものより、ずっと高級そうな衣装に見を包んで。
そこに立っているのは、間違いなくシルナだった。
何でシルナがここに。
俺達は、別々の異次元世界に飛ばされたはずじゃ、と。
思った瞬間、
「…奴隷は?連れてきた?」
こちらを振り向いたシルナの、その目。その声。
氷のように冷たい目と声。
それは、俺の知るシルナのものではなかった。
「えぇ。きっちり六人」
「遅かったね」
「済みません。今日は、彼がどうもぼんやりしているようで」
呆然として立ち尽くしている俺の代わりに、同僚が返事をしていた。
何せ俺の頭は、目の前の現実を受け入れるのに必死だった。
返事をするどころじゃなかった。
…シルナじゃない。
見た目は完全にシルナなのに、その中身は全くの別物だ。
シルナは俺を前にして、こんな風に冷たい目をすることはない。冷たい声をかけることはない。
奴隷なんて言葉を…平気で使えるような人間じゃない。
これは、全くの別人なんだ。
そう納得したとき、同僚がシルナもどきに聞いた。
「会長。『引き抜き』はどうします?」
会長?
このシルナもどきが、さっき言ってた会長なのか?
つまり…俺や、この同僚が所属する、奴隷商会の会長だって言うのか。
このシルナもどきが?
それに、「引き抜き」っていうのは何だ…。
「そうだね…」
会長と呼ばれたシルナもどきは、俺が連れてきた六人の子供達を、品定めするかのような目で見た。
この場合、商品を眺めているのだから、正しく品定めだ。
一人ずつ、商品の品質をチェックするように、奴隷の首輪を掴んでじろじろと見つめる。
子供達の大半は、恐怖に引き攣った顔で、されるがままになっていた。
しかし。
度胸のある…と言うか。
憎しみのあまり、やけっぱちになったのだろう。
「…ぺっ!」
男の子が一人、シルナもどきに向かって、思いっきり唾を吐いた。
あ、ヤバい、と思う暇もなかった。
シルナもどきは、無言で懐から拳銃を取り出し。
拳銃の銃床で、男の子の顔面を思いっきり殴りつけた。
全く情け容赦のない一撃だった。
「ぎゃっ!!」
男の子は、数メートルも吹き飛ばされ、床に倒れて痛みに呻いていた。
口から何本もの歯が零れ落ちて、血を吐いていた。
なんて…酷いことを。
思わずシルナに食って掛かりそうになったのを、必死に自制した。
この男は、俺が知っているシルナ・エインリーではない。
しかもこの世界では、このシルナもどきは上司なのだ。
奴隷商会の会長なのだ。
逆らって良い相手ではない。
俺は、ぐっと拳を握り締めて耐えた。
「『それ』は不要品だ。主人に逆らう奴隷は要らない。処分して」
シルナもどきは、冷徹な声で言った。

