何故忘れていたのか。何故失念していたのか。
俺は、ここで看護師をやって、余命の迫った少女を相手をしている暇はないはずなのだ。
この身体には、この身体の事情があるのだろうが。
それは俺には関係ない。俺には、俺のやるべきことがある。
俺は、自分が何者なのかを覚えている。
思い出した。
しがない大学病院の看護師ではない。
俺は魔導師だ。
後輩が散々扱き下ろしてた、魔導師。
この世界では、富や権力、知識を独り占めし、多くの一般人からは忌み嫌われている、その魔導師なのだ。
…悪かったな。魔導師で。
でも、魔導師だって、好き好んで魔導師に生まれた訳じゃない。
そして、魔法で全てが解決すると思ったら、それは大きな間違いだ。
魔法は人智を超えた、大きな力であると同時に。
同じだけ、危険な力でもあるのだ。
俺もまた、その危険な力を保持する者だ。
その名前が月読であり、そして俺という人間の存在理由だ。
俺は魔導師。『死火』の守り人。
かつて神殺しの魔法と恐れられた、禁じられた魔導書の契約者であり。
同時に、この恐ろしい魔導書を、他の誰の手にも渡さない為に、長きに渡って守り続けている。
それが、俺の役目なのだ。
「…聞こえているのか、月読」
俺は、再度魔導書の写し身に向かって、声をかけた。
いつだって「彼女」は、契約者である俺の声には応えるはずだった。
しかし、今はその声が…。
『…聞こえてるよ』
…あった。
ないと思っていたら、あった。
しかし、その声は、耳で聞いたものではない。
心の中、魂の中に、直接語りかけられている。
「…姿を見せないのか?」
いつもなら、呼んでも呼ばなくても、本人の気まぐれで、俺の前に姿を現したり、消したりと、自由にしている。
前触れもなく、ふらりと俺の背後にあらわれることもあって。
知らない人間は、背後霊か何かかと腰を抜かすのだが…。
今は、四方を見渡しても、月読の姿はなかった。
しかも、いつもなら姿を現して声をかけるのに、今は心の中に語りかけてくる。
これは滅多にないことだ。
『見せない。って言うか…見せられないんだよ』
…何?
見せられない…だって?
俺は、ここで看護師をやって、余命の迫った少女を相手をしている暇はないはずなのだ。
この身体には、この身体の事情があるのだろうが。
それは俺には関係ない。俺には、俺のやるべきことがある。
俺は、自分が何者なのかを覚えている。
思い出した。
しがない大学病院の看護師ではない。
俺は魔導師だ。
後輩が散々扱き下ろしてた、魔導師。
この世界では、富や権力、知識を独り占めし、多くの一般人からは忌み嫌われている、その魔導師なのだ。
…悪かったな。魔導師で。
でも、魔導師だって、好き好んで魔導師に生まれた訳じゃない。
そして、魔法で全てが解決すると思ったら、それは大きな間違いだ。
魔法は人智を超えた、大きな力であると同時に。
同じだけ、危険な力でもあるのだ。
俺もまた、その危険な力を保持する者だ。
その名前が月読であり、そして俺という人間の存在理由だ。
俺は魔導師。『死火』の守り人。
かつて神殺しの魔法と恐れられた、禁じられた魔導書の契約者であり。
同時に、この恐ろしい魔導書を、他の誰の手にも渡さない為に、長きに渡って守り続けている。
それが、俺の役目なのだ。
「…聞こえているのか、月読」
俺は、再度魔導書の写し身に向かって、声をかけた。
いつだって「彼女」は、契約者である俺の声には応えるはずだった。
しかし、今はその声が…。
『…聞こえてるよ』
…あった。
ないと思っていたら、あった。
しかし、その声は、耳で聞いたものではない。
心の中、魂の中に、直接語りかけられている。
「…姿を見せないのか?」
いつもなら、呼んでも呼ばなくても、本人の気まぐれで、俺の前に姿を現したり、消したりと、自由にしている。
前触れもなく、ふらりと俺の背後にあらわれることもあって。
知らない人間は、背後霊か何かかと腰を抜かすのだが…。
今は、四方を見渡しても、月読の姿はなかった。
しかも、いつもなら姿を現して声をかけるのに、今は心の中に語りかけてくる。
これは滅多にないことだ。
『見せない。って言うか…見せられないんだよ』
…何?
見せられない…だって?


