僕の頭の中は、一瞬で飽和状態に陥ったが。
しかし、ここで狼狽えるようでは、読心魔法使いの名が廃る。
「はい、それでは次の方どうぞ」
僕は、何食わぬ顔で次の生徒を呼んだ。
今度は男子生徒だった。
彼は炎魔法を披露してくれたが、僕は彼の心を読みながら、同時にもう一人の読心も続けていた。
二人だけなら、同時読心も容易く出来るようになった。
訓練の賜物ですね。
「ど、どうでしょうか?」
「そうですね。なかなか良い火力だと思いますよ」
褒めながら、内心では全然違うことを考えていた。
この男子生徒には悪いが、今はそれどころではないのだ。
実際、さっきの女子生徒に比べると、実力は大したことないし。
…それよりも。
不味いことになった。
これは、完全に僕の失態だった。
また同じことを繰り返したのか?僕は。
兆候は見えていたのに。新聞にも目を通していたのに。
王都でも、南方都市でも、国中に「そういう空気」が広がっているのは、分かっていた。
未然に防ごうと思えば、防げた。
だけど僕は、無意識に警戒を怠っていた。また慢心していた。
あの学院長がいる限り、ルーデュニア聖王国は安泰だと信じ込んでいたのだ。
…起きてしまったことは、もうどうしようもない。
今は、これ以上の被害を防ぐことを考えなくては。
その為には一刻も早く、学院長達に伝えなければならない。
そして、今の僕に出来ることは。
「はい、次の方どうぞ」
笑顔を取り繕い、平静な振りを装いつつ。
近くにいる、全ての人間の心の中を、探ることだった。
しかし、ここで狼狽えるようでは、読心魔法使いの名が廃る。
「はい、それでは次の方どうぞ」
僕は、何食わぬ顔で次の生徒を呼んだ。
今度は男子生徒だった。
彼は炎魔法を披露してくれたが、僕は彼の心を読みながら、同時にもう一人の読心も続けていた。
二人だけなら、同時読心も容易く出来るようになった。
訓練の賜物ですね。
「ど、どうでしょうか?」
「そうですね。なかなか良い火力だと思いますよ」
褒めながら、内心では全然違うことを考えていた。
この男子生徒には悪いが、今はそれどころではないのだ。
実際、さっきの女子生徒に比べると、実力は大したことないし。
…それよりも。
不味いことになった。
これは、完全に僕の失態だった。
また同じことを繰り返したのか?僕は。
兆候は見えていたのに。新聞にも目を通していたのに。
王都でも、南方都市でも、国中に「そういう空気」が広がっているのは、分かっていた。
未然に防ごうと思えば、防げた。
だけど僕は、無意識に警戒を怠っていた。また慢心していた。
あの学院長がいる限り、ルーデュニア聖王国は安泰だと信じ込んでいたのだ。
…起きてしまったことは、もうどうしようもない。
今は、これ以上の被害を防ぐことを考えなくては。
その為には一刻も早く、学院長達に伝えなければならない。
そして、今の僕に出来ることは。
「はい、次の方どうぞ」
笑顔を取り繕い、平静な振りを装いつつ。
近くにいる、全ての人間の心の中を、探ることだった。


