床に広げられた地図を片付けた。

ご飯を食べ終えて満足したのだろう、機嫌が良さそうな表情で部屋に入ってきた。

今日起きたことや出会った人たちの思い出話をしてくれた。

彼女は祖父母のことも、あの土地の人々も自然も好きなんだろう。

一通り話し終えるとベッドの上に飛び乗り上を向いて目を瞑った。

何かを考えているのだろう。

その間僕は宿題をした。

次の漢字の読み方を答えなさい。

問題「豆腐」

解答「とーふ」

「とうふ」

彼女はそう呟いた。

僕は消しゴムで解答を消し、書き直した。

まもるとまなまが戻ってきた。

2人もまた機嫌が良さそうだった。

まなみは葉月とおしゃべりをし、まもると僕はいつものように宿題をした。

その後、4人でカーレースのテレビゲームをした。

葉月は明らかに上達していた。

いつの間に上達したのだろう。

夜中僕が寝ている時に練習をしにきていてもおかしくはなかった。

もちろん葉月はそこまでゲームに熱中するタイプではない。

葉月とまもるは一位を争う熱戦をしている中、僕とまなみはタイムオーバーにならないための熱戦をしていた。

時折まなみは僕にイタズラをしかけた。

枕や教科書で僕の目線を塞いだりと。

きっと彼女も普通にやれば3位には入るのだろうがゲームに飽きてきていたのだろう。

だが、まもると葉月に冗談でもイタズラをできるような空気はなかった。

しばらくすると葉月のお母さんが葉月に帰る旨を伝えた。

僕らは葉月の家族を玄関先まで見送った。

僕達は4人で仲良く過ごしていたのだ。

僕の行き過ぎた冗談や無神経な冗談を除けばだが。

時が経ち僕と葉月とまもるは大学を卒業し、就職をした。

僕はOA機器の営業、葉月は雑貨屋、まもるは貿易会社に就職した。

まなみは大学で魚介を勉強し、ダンスサークルに入っていた。

お互い会えない時間も増えていった。

しかし4人が集まれば、昔と変わらず楽しく過ごした。

僕の冗談を除けば。