悠月さんが一番、この店の中で誰よりも和菓子を愛してること、それは間違いない。
 それは誰にだって、分かることだ。

「菜々海がいつも、俺の作る和菓子を見てさ、美しい、美味しそう、素敵です。そう言ってくれるとさ、俺本当に頑張ってて良かったと思ってるんだ」

「……え?」

 悠月さんのその真剣な眼差しに、吸い込まれてしまいそうになるのは何故だろう?

「俺は和菓子を作る時に考えることは、たった一つだけなんだ」

「たった一つだけ……?」

「ああ。 和菓子を美味しく笑顔で食べてくれたらいいなと、そう思ってる」

 素敵な考え方……。悠月さんのその和菓子に対する考え方や情熱は、きっと誰にも負けないと思ってる。
 和菓子をこんなに愛してる人は、きっとどこを探してもいないのではないかとも思う。

「……素敵です」

「そうか?」

「はい。……私は悠月さんのそういう考え方、すごく好きです」

 って、私何言ってるの!? は、恥ずかしい……。

「ありがとう、菜々海」

「……はい」

 どうしよう……。このままじゃ私、悠月さんのこともっと好きになってしまいそうだよ。
 ダメだって分かってるけど……。