社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

「違う。
 こいつはたまたま拾ったんだっ」

 だが、八十島は将臣の言い訳を聞かずに将臣を叱る。

「社長、最初におっしゃいましたよね。
『社長とはいえ、俺も新米だから、みんなと一緒に電車やバスで通うことにする』と」

 ……それで迎えの車を呼べなかったんだな、と千景は気がついた。

「明日からお迎えに上がるよう、車両部に連絡しておきますね」

 さっさと受付に行こうとする八十島に将臣が追いすがる。

「待てっ。
 こんなすぐに撤回したら、駄目な若造だと思われるだろっ」

 八十島を追いかける将臣について行きながら、千景は訊いた。

「あの~、社長。
 なんで秘書のかたの方が偉そうなんですか?」