社長っ、このタクシーは譲れませんっ!




 式典は終わり、軽い立食パーティーがはじまった。

 律子は、なかなか会えないと言ってた技術の小田と会えたらしく、ハイテンションでしゃべってた。

「会えたわっ。
 すごいわっ。

 100周年記念イベントッ。

 まるで私のためのイベントねっ」
 などと、はしゃいでいる。

 小田に、
「私、年下の人も好きですっ」
と言って、

「……すみません。
 僕、真柳さんより年上です」
と言われていたが……。

 小田はただの童顔だった。

 結婚式、もう一個増えるかも、と思いながら、千景は空いた皿を下げ、次の料理を運ぶ。

 今日は編纂は会場の手伝いも請け負っていた。

 そんな千景を招待客の人たちに囲まれ話している将臣が、チラと見る。

 大きな皿を手にしている千景を見て、

 ひっくり返すなよっ、と子を見守る親のような顔をしていた。