千景と将臣は、社食に急いでみた。

 お昼少し過ぎたが、必ずしも、昼休みにみんな、食事をとれるわけでもないので、まだ結構人のいる社食がざわめいていた。

「何故、社食に……」

「今日、なんかすごいメニューあったか?」

「えっ?
 なんで騒いでるの?

 あの人誰?
 初めて見たんだけど」

 社食のど真ん中に仙人(せんと)が立っていた。

 普段、地下にいるので、つけることがないらしい社員証を両手でつかんでいる彼は、千景たちに気づき、

「あ、将臣くん……
 じゃなかった。

 社長、千景ちゃん。
 どうやって、この社員証で食べるの」
と笑顔で訊いてきた。

「……仙人さんが地下から出てくるとはっ」
と千景と将臣も衝撃を受ける。