「社長、なに溜息ついてるんですか」
数日後、将臣は社長室で八十島にそう問われ、顔を上げて言った。
「いや、すまん。
仕事に集中してないわけじゃないんだが……」
「言い訳はいいです。
なに考えてらっしゃるんですか?
仕事に差し障りが出ても困るので、私でよかったら、相談に乗りますよ」
相談か。
まあ、してみたくはあるが。
こいつ、千景を好きなんだよな。
どうしたら千景が自分を振り向いてくれるか。
経験値が低すぎてわからない、なんて話をしたら、八十島に悪くないだろうか。
でもまあ、すでに心が他の女性に向いている可能性もある、と思い、将臣は訊いてみた。
「……お前、九条真実とはどうなってんだ?」
「つきまとわれております」
間髪入れずに八十島は言う。



