社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

 尽くしたからには、その見返りが欲しい。

 そんな風に願ってしまうのは、いいことではないかもしれないが。

 世界一の愛を注いだら、世界一の愛を返して欲しい。

 ちなみに俺の思う世界一の愛とは、二人で暮らす家に猫があふれ、壁には千景の描いた仏の絵が飾られ。

 猫まみれな千景が日当たりのいいリビングにいて、俺が、
「千景」
と呼びかけると、こちらを向いて微笑んでくれる。

 そんな感じだ。

 そんな毎日が永遠につづくなら。

 それが俺にとって、世界一愛あふれる家庭だと思うから。

 俺と千景と猫と、ちょっと仏、だけの世界。

 いやまあ、キッチンにキャベツもあっていい。

 ……俺よりキャベツがはっきり写っているからといって、千景が俺よりキャベツを愛している、とかいうわけではないと思うが。

 しかし、尽くすと言ってもな。

 あいつはなにも欲しがらないし。

 なにをどうしたら、尽くしていることになるのか。

 与太郎を抱く将臣の前で、早百合が何処かに行こうとした。
 猫たちがそんな早百合にゾロゾロついていく。

 なんだかんだで懐いてるよな、みんな、と思っていると、早百合がこちらを振り向き言った。