社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

 


 次の日、千景たちがタクシーを降りたところで、カフェから出てきた八十島が言った。

「さっき、武者小路と坂巻が走っていきましたよ」

 最近、よく見るんですよね、あいつらが二人でいるの、と八十島が言う。

「なんだかんだで坂巻は美人で気も利くから、たぶん、ひとり消えましたね」

 ……なにが消えたんだ、と思う千景の前で、将臣が八十島に言う。

「お前はお前で背後になにかいるから無理だと思うぞ」

 えっ? と八十島が振り返ると、なにかがさっとカフェのある雑居ビルの陰に隠れた。

 不審げな顔をした八十島が、
「そう言えば、さっきから妙なメッセージが送られてくるんですよ」
とスマホを見せてきた。