社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

「いえ、そうではなくて。
 朝も社長とタクシー。

 職場でも社長といっしょ。

 帰ってからも、こうして、一緒に猫と遊んだり、お寿司食べたりとかして。

 なんかずっと一緒だなと思って。

 まるで、家族みたいですよね」

「……飛び越えて、家族か」
と言われ、

「なにを飛び越えたんですか?」
と訊いてしまう。

「……俺は家族という感じではないな」
と言う将臣に、

「そうですよねー。
 社長と家族なんて恐れ多いですよね~」
と言って、残った酒を呑もうとした。

 だが、グラスを持つ手をつかまれる。

「いや、俺は別にお前と家族になるのは嫌じゃない」
と真剣に自分を見つめる将臣に言われ、

「……そうなんですか」
とぼんやり答えながら、千景は思っていた。

 社長と家族か。

 千景は猫たちにまとわりつかれ、猫を抱っこし、早百合の家にいた。

「千景、猫たちにご飯をやって。
 あなたも食べていいわよ」

「はい、お母さん」

 千景は早百合の娘として養女に入っていた。