社長っ、このタクシーは譲れませんっ!




「私は地下に潜伏し、会社の変遷を見守っている仙人(せんと)さんの一生をもっと大々的に扱ってみたいんですが」

 いい感じに酒が入ってきた千景は将臣にそう言った。

「一生って、殺すな……。
 だが、仙人さんの話は面白そうだな」
と将臣に言われる。

「ところで、みなさん、社史が完成したら、元の部署に帰られるようなんですが。

 私は最初から編纂室なのですが」

「いや、全員、元の部署に戻るとは限らないが」

 だが、そうだな、とよく冷えた萬寿を呑みながら、将臣は言う。

「お前は行くところがないな」

 その言葉に、千景は一人放り出された気がして。

 半地下の編纂室でも、仙人がいる倉庫でもない半端な地下の片隅でひとり、ホウキでチリや埃を集めている自分を想像した。