社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

 千景は、あっ、答えてくれるんだっ、と嬉しそうな顔をする。

 その無邪気な嬉しがりように、よしっ、なんでも答えてやるぞっ、と将臣は誓う。

 俺に彼女はいないぞ、千景。

 ただ、近年、見たことも会ったこともなかったうえに、八十島に気があるらしい許嫁と。

 彼女になる気もなさそうなのに。
 母親に俺と結婚させられそうになったり。
 相手を探すのめんどくさいからと俺に結婚を申し込まれたりする女ならいるんだが。

 そんなことを思いながら、将臣は、
「他の質問は?」
と積極的に訊いてみた。

 結婚観とか訊いてみてくれ。

 ぜひ、お前に伝えたいから、と武者小路に、
「いやそれ、全社員に伝えるための質問コーナーだろ」
と突っ込まれそうなことを思っていた。

 千景は嬉しそうに、
「えーと、じゃあ、次行きます」
と集計用紙を見ながら言う。