社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

「まあ、確かに毎年社史は現実的じゃないですよね」
と千景も頷く。

「で、その話してたら、律子さんがやってきて、
『じゃあ、社内報とは違う社内報出せばいいじゃない』って言うんですよ」

「社内報を乱立させるな……。
 なに書く気だ」

 何処も現実的じゃないぞ、と将臣は言うが。

「律子さんは会社公式の社内報の人たちが書けないようなことを書いたらいいんじゃないかって言うんですけど」

「社内報の連中が書けないようなことってなんだ」

 危険な匂いしかしないんだが、と将臣は言う。

「そうですねえ。
 誰も知らない会社の秘密を暴くとか。

 どの部署に産業スパイがいるかとか?」

「……そんなネタつかんだら、まず、俺に言え」

「社内の人の恋模様とか」

 もちろん、それは律子の案なのだが、将臣には、
「いや、放っておいてやれ」
と言われてしまう。