社長っ、このタクシーは譲れませんっ!




「今、坂巻さんと話してたんですよ。
 社史の編纂終わったら、みんなバラバラになっちゃうんですよねって」

 女子二人はしんみりしているようだった。

「仕方ないだろ。
 社史ができるまでの編纂室だ」

 そう言って、自分のデスクにつきながら、武者小路も思っていた。

 そういえば、なんだかんだで、ここ、気に入っていたな、と。

 半地下で人目がないところもいい。

 営業でずっと人目を気にして生活してたからな。

 こういう浮世から離れた仙人っぽい生活もいいというか。

 いや、仙人っぽいということにおいては、地下の仙人(せんと)の右に出るものはないのだが。