社長っ、このタクシーは譲れませんっ!




 武者小路が編纂室に戻ると、千景はもう坂巻と話しながら、仕事をしていた。

 後ろに立ち、千景の打っている文章を見てみる。

 社史のデザインについての書類をまとめ直して打っているらしい。

『捕食を選ぶことで』

 補色だろ。

 誰が食われるんだ。

 戸塚か。

『隣に男色を』

 暖色だろ。

 戸塚の横にいつも八十島がいるからか、と思いながら、後ろから呆れたように言った。

「音声入力じゃなくても、いっぱい間違ってるじゃないかっ」

 いきなり、背後から叱られ、千景が、ひっ、と振り返る。