社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

 その顔を見ていると、
「なに微笑ましげに見てんだ」
という声が真後ろからした。

 将臣が八十島と立っていた。

「今、お前、微笑ましく千景を見てなかったか?」
と将臣は追求してくる。

 ……学生時代、どんな女が言い寄っても振り向かない孤高の王子様みたいだったやつが。

 なにあんな小さき者に……

 いや、サイズ的にはデカいんだが、身長あるから。

 だが、雰囲気的に、なんとなく小動物的なイキモノ相手に、なに余裕なくしてんだ、と思うとちょっとおかしくなってしまう。

 友人としては応援してやりたいが、やっぱり、なんだか応援する気にならないな、と思いながら、武者小路は言った。

「別に微笑ましくなんて見ていない。
 くだらない話してんな、と思っていただけだ」

 ……というか、とふと気づいて武者小路は言う。