社長っ、このタクシーは譲れませんっ!




 なんか律子に春が来そうだわ。

 あまりリラクゼーションルームに長居してたら、さすがに怒られそうだ、と思った坂巻は半地下に戻ろうとしていた。

 食べすぎた気がするので、途中から階段で。

 千景もいっしょに戻ると言ったのだが、千景はまだ来たばかりだったので、
「もうちょっとゆっくりしてっても大丈夫よ」
とおねえさんっぽく言って、置いてきた。

 ああ、私にも、おねえさまな感じの人が好きです、とかいう可愛い後輩とか現れないかしら。

 いやいや、律子のせいで、後輩とか思っちゃったけど。

 もともとは年上好きだし。

 っていうか、年齢より顔だし。

 でも、この年になると、顔より性格かな。

 イケメン、眺めるのにはいいけど。

 他の女が手を出すんじゃないかと思って、ハラハラしそうだし、といろいろ考えていた坂巻は足を踏み外した。

 あっ、やばっ、と思った瞬間、身体が宙に放り出される。