社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

「嵐山」
と千景をだけを見下ろし、

「サボってんなよ」
と毒を吐いていく。

「……何故、私だけ、文句言われました? 今」
とカフェスペースのカウンターに向かい歩いていく八十島の背を見ながら、千景は言ったが。

 坂巻たちは、
「やだー。
 私も罵られたい~っ」
と言って笑っている。

 律子は、ぽい、と高い限定チョコを口に放り込んだあと、紙コップのコーヒーを一口飲んで言う。

「あ~、私もちやほやされたいわ~っ」

 律子のその目はあの窓際の華やかな一団を見ていた。

「……よその会社に入り変えようかしら」

「なに言ってんの。
 会社変わったところで、今更、ピュアな雰囲気なんて醸し出せないでしょ。

 まあ、あんた、入社したときから初々しくなかったけど」

「それ、あんたも一緒でしょーっ」
と坂巻と二人、揉めている。