社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

 


 リラクゼーションルームに行って、千景は律子を探した。

 坂巻も先に来ているようだった。
 
 律子たちが千景に気づいて手を振る。

 日焼けしたくないという理由から、律子たちは窓際ではなく、大きな木の陰のテーブルにいた。

「ほら、とっとと飲み物とってきて食べなさいよ」
と律子に言われ、千景は、はーい、と急いでカプチーノをとってくると、小さな濃いピンクと茶色いの箱に入った可愛いチョコを一粒もらった。

 うん、カプチーノにも合ってておいしい、と思ったとき、頬杖ついた律子が窓際の明るいテーブル席を見て、舌打ちした。

「あーあ、男ども、新入社員にばっかり群がって」

 千景の同期の小柄で可愛い子の周りに男性社員が集まっている。

 なにやら楽しそうに、どっと笑ったりしていた。

「やめてあげて、律子。
 ここにも新入社員、いるのよ」

 千景は、坂巻に同情気味に言われて初めて、自分もまた、ちやほやされるべき新入社員だと気がついた。