社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

 何故、そんなに真剣に猫を探してるんだ……と思う武者小路は、将臣が、『見ると嫁になる呪いがかかっている自分ちの猫』を探しているのだとは知らない。

 道端にいる可愛い猫の探索に行くのだと思っていた。

 もう夜だが、まあ、猫、夜行性だしな。

 ふたりで趣味も合っているようでいいことだ、と思いながら、
「頑張れよ」
と言ったあとで、また、ふと、将臣が社長なことを思い出した。

「頑張れよ、社長」
と言いかえる。

 ……あまり適切な表現ではなかったな、と思いながら、ふたりと別れた武者小路は、あの喫茶店に行った。

 この間、将臣と座った席が空いている。

 隅の方で落ち着くその席に座ると、千景たちのいる外を見ないよう、メニューを見た。

 仲良く去っていく二人を見てから、なんだかしくしく痛む腹を抑えねば、と水を持ってきたマスターにすぐさま注文した。

「すみません。
 ポテサラ定食ください」

 えっ? ポテサラ定食? と訊き返されてしまったが。