社長っ、このタクシーは譲れませんっ!




 家の近くの商店街を歩いていた武者小路は、あの喫茶店から出てきた千景と将臣に出会った。

 白いケーキの箱を手に、仲良さそうな二人を見ていると、腹の辺りが、きゅっと痛んだ。

 ……お腹が空いているようだ、と武者小路は思う。

 心臓は思っているより、腹寄りらしいが。

 お腹が空いているはずだし、今、痛んだのは腹だろう。

 この俺が嵐山なんぞに心を奪われるとか勘弁だ。

 この二人、まだまだ付き合っているとかではないようだが。

 さっさとくっつけてしまおう、と武者小路は思う。