社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

 

 そうだ。
 猫屋敷に招待されたから、なんか買って行こう。

 猫ちゃんのおやつはいろいろ制限ありそうだから、社長に。

 益岡さんや早百合さんもいるのかなあ。

 多めに買えばいいか、と千景は、あの商店街のケーキ屋に向かった。

 よし、幻で謎の素晴らしいチーズケーキにしよう、と店に入ると、
「いらっしゃいませ」
とこの間の店員さんが笑顔で迎えてくれた。

 店内にはスーツ姿のおじさんがいた。

 チーズケーキを買っている。

 売り切れちゃうかな、と思ったが、数は足りそうだった。

 おじさんのケーキを包みながら、店員さんが千景に訊いてきた。

「なににしましょう?」

「あ、その幻のチーズケーキを」

 ショーケースの前のおじさんがちょっと笑ったようだった。