社長っ、このタクシーは譲れませんっ!




「で、久しぶりにハムスターとよしくんと遊んで帰ったんですよね~」

 昼休み。
 リラクゼーションルームでお茶をしながら、千景は週末の話をしていたが。

「え?
 よしくんってハムスターがどうしたって?」
とスマホをいじりながら律子は気のない声で訊き返してくる。

 ……よしくんは、ハムスターではありません。

 ふと、会社にもハムスターがいた気がしたが。

 それは千景の妄想の中の武者小路だったのでいなかった。

「やだなあ。
 よしくんは私の従兄のおにいちゃんですよ」

 そう言った瞬間、ぴたりと律子と坂巻がスマホをいじる手を止めた。

「イケメン?」
と二人同時に顔を上げ、訊いてくる。

 律子さんたちの中には男性は二種類しかいないようだ、と思う。

 イケメンか、そうではない人か。