一方、その頃、千景は無心に仏を描いていた。
もう結構ページ進んだな。
猫。
一ページに結構時間かけてるけど。
猫。
これだけ進むとは。
猫。
全部完成したら、律子さんや坂巻さんや、社長にも見せたいな、と、
「何故、俺が最後っ!?」
と将臣にキレられそうなことを思いながら、千景は、ふう、と筆を置く。
今日も無心に仏が描けた。
間で思考に混ざり込んできた可愛い猫のショットはいつものことなので。
特にカウントせず、自分では無心のつもりだった。
よし、あと一息、とまた筆をとろうとしたとき、スマホが鳴る。



