まったく、と言った坂巻は改めて千景のスマホの写真を見て言う。

「っていうか、これって、社長の自宅なの?
 豪邸ねえ」

 坂巻さん。
 何故、愛らしい猫たちより、背後の豪邸を見ているのですか。

 もっと猫を見てください、と思いながら、
「それは社長のお母様のおうちです」
と教える。

「お母さんのおうちまで行ってるのなら、完全に嫁候補でしょうよ……」

「あっ、そうだ。
 八十島さんに写真、転送しないと」

 ふと思い出した千景がせっせと転送していると、坂巻がちょっと嫌味っぽく言ってきた。

「社長にもその手だけの写真、転送してあげなさいよ」

 いや、と千景は顔を上げて言う。

「社長の連絡先、知らないので」

「だから、どうなってんの、あんたたちっ」
とまたキレられた。