社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

「八十島さん、写真いいのありますか?
 私、撮りましょうか?」

「送るの前提か。
 だが、確かに自分の写真なぞ持ってないな」

「撮りますよ。
 そこ立ってください。

 あ、逆光じゃない方がいいかな」

 千景は八十島をいろんなところに立たせてみる。

「……嵐山、俺は忙しいんで」
と八十島が言いかけたとき、

「なにしてるんですか?」
と律子が通りかかった。

「写真撮るんですか?
 証明写真?

 私、いいライト持ってますよ」

「何故、職場にいいライト……」

 なんでライトなんか持ってきてんだ、という八十島の問いには答えず、律子はロッカーからスマホにつけられるライトとやらを持ってきた。

「これやって撮ると、目にハートが写るんです」

 ……俺の目にハートが写ってどうする。