社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

「っていうか、ヘブンズハウスって、あの世に行く気か」

 いや、天国のように素敵なおうちって意味らしいですよ……。

 そこで私は仏様を写しているので、いろいろ入り混じってしまっているのですが、と思う千景の前で、八十島は顎に手をやり、ふうん、と言う。

「……桃木町3丁目ね。
 なるほど」

 なにが、なるほどなんでしょう?

 何故、あの辺りに自宅もないのに、毎度社長が現れるのか。
 私も気になってるんですけどっ、と千景は思わず身を乗り出し、八十島を見つめる。

 だが、すぐさま、額に軽く掌底を打ち込まれ、遠ざけられた。

「近いぞ、嵐山」