社長っ、このタクシーは譲れませんっ!





「ポテチって、一袋全部食べたら多いかなって思うんですよ。
 でも、此処らでやめようって思ったとき、どれを最後の一枚にするか、迷いますよね」

 職場のデスクで千景はそう言った。

「これじゃあ、ちょっと小さすぎるぞ、とか。
 これじゃあ、ちょっと大きすぎて、コンソメの付き具合が悪いぞ、とか」

 斜め前に座る武者小路がノートパソコンの上からこちらを見、

「……お前、なんでその話を俺にする?
 なんで、俺なら同意すると思った」
と言ってくる。

 いやいや。
 別に武者小路さんがポテチをむさぼり食って、私みたいに止められなくなってそうだから言ったってわけじゃありませんよ、
と心の中で弁解しながら、千景は引き出しを開けた。