社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

 礼を言ったり、挨拶をしたりしているうちに、
「それじゃあ、社長。
 どうもありがとうござました」
と千景は頭を下げ、笑顔の大家さんとともに行ってしまった。

 ……結局、何処にあるんだ、お前の家は。

 此処の近所のはずなのにわからない。

 ひとり寂しく夜道を帰っていた将臣は気がついた。

 そうだ。
 そういえば、途中まで、アパート名聞いてたな。

 確か『桃木町3丁目ヘブンズハ』。
 
 ネットで検索とかすればっ、と勢い込んだが。

 待て待て。
 それじゃ、まるでストーカーみたいじゃないか、と思いとどまる。