社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

「そういえば、うちのマンションにならあるぞ。
 来るか」

 変に意気込んでしまわないよう、気を使いながら言ってみたのだが、千景は、

「そうなんですか。
 では、見られませんね」
とあっさり言う。

 何故だ……と思いながら、訊いてみると、
「真実さんに怒られそうだからです」
と千景は言った。

「何故、そこまで九条真実に遠慮する」

「なんか真実さん一生懸命で可愛いらしいので」

 渋い顔をしながら、将臣は言った。

「……俺が九条真実と結婚してもいいのか」

「えっ?」

「そしたら、嫁としてこの猫屋敷に来られるのは九条真実。
 お前もう此処の猫たちには会えなくなるぞ」

 どんな脅しだ、と自分でも思ったが、千景には効果があったようで、猫にまみれながら、青ざめている。