何処行ったんだ、最後の一匹は、と思いながら、将臣は視線を動かし、千景が見つけていない猫を探していた。
生まれて初めて、この家の広さを恨む。
家の何処かに見知らぬ猿とかうさぎとかが住み着いていてもわからぬ広さだ。
今朝は普通にいただろうがっ、と今いない猫に対して思ったとき、千景が、わあ、と声を上げた。
「すごいですね、この猫。
お手ができるだなんてっ」
そういえば、黒猫は千景にお手っぽいことをしているが、まあ、たまたまだろうと思う。
グレーのふかふか猫はそんな千景の周りをぐるぐる回っている。
なんか、こいつ、猫に値踏みされてるみたいだな、と笑ったとき、千景が言ってきた。
「伏せとか言ってみましょうか。
あっ、伏せましたよっ。
この猫、前世は犬なんですかねっ?」
「……なんだ、前世が犬の猫って」
っていうか、お前、今、『伏せって言ってみましょうか』って言っただけで、命じてないんだが……。



