社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

 ちょこんと上にのっている小さなベリーを見て、
「……間違いない」
と呟いている。

「此処のケーキは、何処のとも味が違うんだ。
 ふわっとして、さくっとして。

 いつもおじさんが持ってきてくれてたんだが」

「おじさん?」

「俺の前の社長だ」
と将臣は言った。

「俺がすっごい喜んで、何処のケーキかと訊いても、内緒だよって絶対教えてくれなかった」

 そんな将臣の思い出話を店員さんは微笑ましげに聞いている。