社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

 白い紙ナプキンに包まれたフォークをおじさんが持ってくる。

 この店はおじさんひとりでやっているようだった。

 後ろの壁掛けの鳩時計が七時をお知らせしてくれて、扉が開いたが、鳩は出てこなかった。

 そちらを振り向きながら、
「うちのおばあちゃんちのも鳩いなくなっちゃったんですよね~」
と言って、

「勝手にどっか行くのか、鳩」
と言われる。

 あ、と千景は声を上げた。

「この間、ガチャガチャで出てきた鳩、おばあちゃんちの鳩時計に引っ付けたらどうでしょうね」

「重厚感なくなるだろ。
 やめてやれ……」
と将臣に言われた。