社長っ、このタクシーは譲れませんっ!




 開けるとカランカランと鐘が鳴るガラス扉を開け、千景たちは赤い椅子と木製のテーブルが並んだ狭い店内に入る。

「うわー、なににしましょうかね~」

 ふたりでプラスチックのケースに入った文字だけの白いメニューを眺める。

 額がぶつかりかけて、将臣が身を引いた。

「……お前、先に見ろ」

 えっ? いえいえ、いいですよ、と言いながら、千景は今度はぶつからないよう、老眼の人のように離して見る。

「カタカナ率高いですよね、こういうところのメニュー表」

 オムライス
 ナポリタン
 トースト
 コーヒー

「漢字のもあるぞ。
 ……焼きサバ定食」

 食堂か、と呟きながらも、将臣は焼きサバ定食とコーヒーを頼んでいた。

 千景はナポリタンとクリームソーダを頼む。