「武者小路さんは何故、ここに?」
「この近くに住んでるんだ」
と武者小路は商店街の先を指差す。
「ああ、あのマンションですか」
と夕日に照らされ、そびえる真新しいマンションを目を細めて見ていると、
「……その手前にある小さな雑木林の中にある木造のアパートだ。
アパートっていうか。
まかないつきで、下宿みたいな……」
「えっ、素敵ですねっ」
と千景は祈るように手を合わせた。
雑木林の中の古い下宿屋さん。
絵になりそうで素敵だ、と思ったのだ。
「そうか。
じゃあ、まあ、気が向いたら見に来い。
この先をまっすぐ行って。
いつからあるのかわからない自動販売機のある角をそのまま直進した林の向こうだ」
と指差し教えてくれる。
ありがとうございますっ、と千景は頭を下げた。
「……ま、今日は社長と待ち合わせてるようだから、またな」
と武者小路は行ってしまった。
い、言ってないじゃないですか、社長と待ち合わせてるなんて、と千景は思っていたが。
武者小路は、『しゃ』だけで何故か、なにもかもお見通しのようだった。
「この近くに住んでるんだ」
と武者小路は商店街の先を指差す。
「ああ、あのマンションですか」
と夕日に照らされ、そびえる真新しいマンションを目を細めて見ていると、
「……その手前にある小さな雑木林の中にある木造のアパートだ。
アパートっていうか。
まかないつきで、下宿みたいな……」
「えっ、素敵ですねっ」
と千景は祈るように手を合わせた。
雑木林の中の古い下宿屋さん。
絵になりそうで素敵だ、と思ったのだ。
「そうか。
じゃあ、まあ、気が向いたら見に来い。
この先をまっすぐ行って。
いつからあるのかわからない自動販売機のある角をそのまま直進した林の向こうだ」
と指差し教えてくれる。
ありがとうございますっ、と千景は頭を下げた。
「……ま、今日は社長と待ち合わせてるようだから、またな」
と武者小路は行ってしまった。
い、言ってないじゃないですか、社長と待ち合わせてるなんて、と千景は思っていたが。
武者小路は、『しゃ』だけで何故か、なにもかもお見通しのようだった。



