社長っ、このタクシーは譲れませんっ!




 微かに聞こえるバチバチという音を聞きながら、将臣は振り返る。

 千景が、
「あっ、金曜、お疲れ様でした~」
と営業の小西と話しているのが見えた。

 小西か。
 結構いい奴だよな。

 爽やかだし。

 いや、それより、八十島だ。

 酔ったはずみか、ゲーセンで千景の手を握って連れ歩いたり、真横に座って、ずっとゲームをしていたりした……。

 だが、まあ、大丈夫か、と将臣は、なにが大丈夫かなんだかわからないまま思う。

 あんなバチバチ言ってる女をいいとか言う奴、そうそういないだろ。

「いやいやいやっ。
 私、いつもバチバチ言ってませんからねっ」
と千景が聞いていたら反論していただろうが。