社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

 


 総務に用があったので、千景が上のフロアを歩いていると、向こうから将臣がやってきた。

「お疲れ様です。
 金曜日はありがとうございました」

 千景は頭を下げたが、将臣は不審げな顔をする。

「……お前、なんかバチバチ言ってるぞ」

「……すみません。
 編纂室を出る前に社長にいただいたお菓子をひとつ口に入れたら、弾けるやつだったみたいで。

 最近はチョコも弾けるんですね」
と言っている間も、口の中でバチバチ言っている。

「……気をつけろよ」

「はい」
とまだバチバチ言いながら、千景は頭を下げた。