社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

 


「くっ、この俺と互角に渡り合うとかっ」

「どの俺なんですか」

 クイズゲームは僅差で千景が勝った。

「次は将棋か囲碁で勝負だっ」
と負けん気の強い八十島は千景の手を握り、別のゲーム機に連れていく。

「囲碁はわかるか、嵐山」

「大丈夫です。
 囲碁なら、昔、おじいちゃんに習いましたから」

「ほう。
 お前のおじいさんも囲碁をやるのか」

「いえ、何処かの家のおじいさんです」

「……なんで知らないじいさんに習ってんだ」

「いや、子どもの頃、外で遊んでたら、いろんなおじいさんに出会うじゃないですか。

 畑のところにいるおじいさん。

 いつも犬連れて散歩しているおじいさん。

 縁側で本見ながら、囲碁とかやっているおじいさん。

 確か、そのおじいさんにみんなで習ったんですけどね。

 ……でも、中学生くらいになって、その話したら、誰も囲碁のおじいさんなんて覚えてないって言うんですよ。

 古いおうちだった気がするし、座敷童だったんですかね?」

「……いや、じいさんなんだろ?」