社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

「これよ」
と早蕨は青い鳥のふかふかのぬいぐるみを見せる。

「これが娘の、これが息子の」
と色違いの鳥のぬいぐるみを早蕨は両手に持った。

 ……いいのだろうか、ご主人もぬいぐるみで。

 だが、ともかく、早蕨は楽しそうだった。

 その様子につられた千景は、崩した五千円を一瞬でクレーンゲームに飲み込まれたにもかかわらず、もう一回やってみよう、とまたお金を崩しに行った。

「ほどほどにしとけよ」
と横に居る将臣が呆れたように言う。

「社長はなにかやらないんですか?」

 両替したお金がジャラジャラ落ちてくるのを見ながら千景は訊いた。

「俺は別に……。
 だが、まあみんなまだ遊ぶようだから、ちょっとなにかやるか」

 将臣は特にお金を崩したりはせずに、手持ちの小銭でお菓子を落とすゲームをやりはじめた。