社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

「もう呑まないんですか、社長っ。
 せっかくの親睦会ではないですかっ」
と将臣は早蕨に詰め寄られている。

「そう、せっかくの親睦会ですよっ」

 将臣よりちょっと年上、と言った感じの専務付きの秘書、塩谷(しおたに)も早蕨と一緒になって笑いながら訴えている。

 将臣は困っているようだ。

 別に酒に弱いわけでもないようだが。

 社長たるもの、泥酔しないよう、節制して呑んでいる風に見えた。

 だが、女性陣はおかまいなしだ。

 思わず、千景は早蕨に声をかけていた。

「早蕨さん」
「なに? お菓子の嵐山さん」

 あ、お菓子が戻ってきた……と思いながら、千景は言った。