社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

 

 早蕨に連れられ、千景は社長室前に来ていた。

 早蕨がノックし、
「社長、嵐山さんが社長と面会したいそうです」
と言う。

 社長室に通された千景は、じゃ、と言う早蕨に置いて行かれ、広い社長室のど真ん中に、ぽつねんと、残される。

 仕事をしていたらしい将臣が顔を上げ、不思議そうに
「なんの用だ」
と訊いてくる。

「……なんの用なんでしょうね」
と千景は呟いた。