社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

 秘書室の早蕨(さわらび)だ。

 二人に背を向ける感じで置かれているマッサージチェアに座っていた早蕨はイライラしていた。

 限界突破し、立ち上がった早蕨はマッサージチェアの背に手をかけ、
「ちょっとお菓子の嵐山さんっ」
と千景に向かい呼びかける。

「は、はいっ」
 千景がその迫力に凍りつく。

「まず、社長と直接会って話をしなさいっ。
 こんなところでグダクダ言ってないでっ」

 はいっ、と千景は、なんだかわからないまま(かしこ)まる。