社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

「む、武者小路さんですかね?」

 残念ながら、他に思い浮かばなかった。

「双方が武者小路にアドバイス頼んでどうする……」

「社長が武者小路さんにアドバイスされた言葉を言って、私が武者小路さんに教えてもらった言葉を返す。

 武者小路さんの一人芝居ですね……」

「っていうか、あいつに頼んだら、罵詈雑言が飛び交うだけのような……。

 待てよ、そうだ。
 九条真実はどうだ。
 あいつ、恋愛脳っぽいじゃないか」

「えっ? そうですかね?」

 でも、あの言動を見るに、私と似たり寄ったりの不器用さだと思うんですけど、と千景は思っていた。