社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

「でも、なんかお前も(うと)そうだな」
と言った八十島が、

「お前も誰かにアドバイスしてもらったらどうだ?
 疎い社長とお前じゃなんにも話進まないじゃないか」
と言ってくる。

 いや、進めたいんですか……と思ったとき、八十島が訊いてきた。

「周りに誰か適切なアドバイスをしてくれそうな奴はいないのか」

「誰か……」

 千景は思い浮かべてみた。

 社長。

 ……本人に訊いてどうする。
 だいたい、あの人も疎いって話だし。

 律子さんと坂巻さん。
 彼氏いないらしいし。

 社長のお母様。
 とんでもないこと言ってきそうだし。

 猫。
 ……癒されるだけだな。

「八十島さんはどうなんですか」

「俺か……?
 俺がそんなことに詳しいわけないだろう」

 いや、怒られても……。

「他にいないのか」

 いや~、誰も思いつかないな~と千景は思う。

 私の友だちも似たり寄ったりだし。