社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

「そうだ。
 いきなりプロポーズとかせずに、まず、デートとかしたらいいんじゃないですか?」

「デートか」

 いや、告白が抜けている、と律子や坂巻が聞いていたら思っていたことだろう。

「そして、指輪とか買うんですよ、きっと」

 いや、だから、告白が抜けている、と律子や坂巻が聞いていたら、また思ったことだろう。

 将臣は八十島の、きっと、という頼りなげな言葉に不安を覚え、訊いてみた。

「お前、今の話、実行したことあるのか」
「あったら、今、独身じゃないです」

 いや、断られてる可能性もあるだろうよ、と思いながら聞いていたが。

 まあ、こいつが断られるとかないかな、と八十島の評価が高い将臣は思う。

 千景に対する評価より、八十島に対する評価の方がよほど高い。