社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

 


 昼休みが終わり、将臣は社長室に戻った。

 八十島が午後の仕事について報告をしたあと、将臣は、そうだ、と思って言う。

「こちらからも報告がある。
 さっき、嵐山にプロポーズしたんだが、あなたとの結婚は絶対ないと言われた」

 有能な秘書は黙って自分を見下ろしている。

「それはどう言った意味での発言ですか?

 フラれたんだが、どうしよう。
 フラれたんだが、どうしたら、上手くいくと思う?
 フラれたんだが、なかったことにしたいからどうにかしてくれ」

「……どれでもない。
 一応、報告しただけだ。

 お前は俺に一番近い秘書だからな。

 っていうか、最後のはなんだ。
 諜報員かなにかみたいに消してくれるのか」

「嵐山をですか?」

 いや、俺があいつにプロポーズしたという事実をだろうよ、と将臣は思う。