社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

 

「どうせならうまいもんが食いたい」
と言う武者小路の言葉に従い、将臣は近くにあった老舗の和食の店に二人を連れていってくれた。

「自分の分は自分で出すからな」
と言う武者小路に、将臣が、

「いや、俺が引っ張ってきたんだから」
と言う。

「お前におごってもらってると思ったら、喉を通らない」

「じゃあ、今度おごり返せよ」
と二人は言い合っているが、なんとなく仲良くも見えた。

 瓢箪の形の器に入った寿司を食べながら、千景は思う。

 ほんとうにいい会社だと。

 猫という福利厚生。

 美しいお母様を至近距離で()でるという福利厚生。

 美味しいお昼ご飯という福利厚生。

と将臣に、
「待て。
 俺との至近距離は福利厚生にならないのか……」
と突っ込まれそうなことを考えていた。