社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

 広い場所で車を止めてもらい、将臣が追いつくのを待つ。

 息を切らした将臣が近づいてきたところで、千景は窓を開けた。

「社長、乗ってきますか?」

 膝に手をやり、呼吸を整えたあとで、将臣がこちらを睨んで言ってくる。

「……お前、なんか偉そうだな」

 親切にしたのに罵られるとか、意味がわからないんですが……と思った千景はドライバーに向かい言った。

「すみません、出してください」

 待てっ、と将臣が叫ぶ。